夢見るたまごハンドレッズ

7/17
前へ
/17ページ
次へ
目をこすりながら、再び下を見ると誰かが私に手を振っているのが見えた。 健太郎くんだ! 健太郎くんが私に向かって懸命に手を振っているのだ。 『健太郎くーん』 私は嬉しくなり両手を大きく振って、自分の中で最高の笑顔で返した。 気付くと、にわとりが私の目の前にいた。 にわとりは、くるりと後ろを向くと、卵を生むような体制になった。 「ここで産むの!?」 私は急いで、両手で卵を受け止めた。 虹色の卵は無事に私の手のひらに落ちて、ぱかっと割れた。 さっきと同じように、中には紙が入っていた。 《パンツ、丸見えなので、とりあえず隠したほうがよろしいかと》 私は、パンツ丸見えのまま健太郎くんに手を振っていたんだ。 すばやく、足を閉じて、目も閉じた。 そして考えた。 きっと大丈夫。 健太郎くんは、凡人とは違う。 私ごときのパンツに動揺したり、バカにするような人じゃないはず。 そっと下を見ると、健太郎くんは変わらず嬉しそうに手を振っていた。 やはり、健太郎くんは健太郎くんだった。健太郎くんにとって、私が空を飛んでいることも、パンツが見えていることも大したことではないのだろう。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加