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おさにが100前編
わたし吉沢美紅と月村洸夜は幼なじみ。
親同士が小学校の同級生で、家も徒歩3分以内のご近所。子供同士も同い年だからわたし達が赤ちゃんの頃から家族ぐるみの交流があったらしい。
わたしの中のこうちゃんこと洸夜の記憶は5歳くらいからある。
同い年なのにこうちゃんはわたしに「お兄ちゃんだから」となぜかお兄さんぶるからわたしは自動的に妹キャラにされた。何をするにも一緒。兄妹のように育った。
そんなある日、公園のブランコでひとり遊ぶわたしに近所の小学生男子がじゃまだと言ってブランコからわたしを突き落とした。
突然のことでびっくりしたのと、擦りむいた膝が痛くてわたしが泣いていると、習い事に行く途中のこうちゃんが通りかかった。
わたしを見つけたこうちゃんが習い事の道具をその場に投げ出して、小学生男子に「美紅を泣かしたら俺が許さない」と勇敢に立ち向かってくれた。
この時から洸夜はかっこいいヒーローでもありわたしの初恋の人になった。
わたし達が小学生になると洸夜は野球を始めた。地元でも有名な強豪チームに将来のプロ野球選手候補が現れたとちょっとした有名人になった。
周りの大人の期待も背負って、クラスではリーダー的存在で明るく太陽のようなこうちゃんは誰からも慕われて人気者だった。あの頃の洸夜は無敵だ。
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