おさにが100前編

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ふたりで過ごしているときは新婚さんごっこと言いながら大人の真似事をよくした。 あの頃のわたし達の行動はいまだに思い出すだけで恥ずかしくなる。 こうちゃんにぎゅってされたり、何度もキスをしたりしてずっとくっついているのが嬉しかったのにある日、こうちゃんの部屋にいきなり入ってきたおばさんにふたりが今までしていたことが見つかった。 「何してんの!」と口調が怒っているからふたりしてびっくりした。 帰り際、おばさんがわたしに「嫌ならいやって言わなきゃだめよ」と言ってきたけど嫌じゃないからそんなこと言われてもわからなかった。 でもその言葉の意味を思い知らされた。 こうちゃんがわたしと口を利かなくなった。顔を合わせてもわたしはいない存在のように扱われた。 何がいけなかったの? わたしこうちゃんに嫌われたの?と毎日自分の部屋で悲しくて泣いた。 今ならわかる。わたし達が抱いていた想いも行為も大人達から見たらあまりにも早熟し過ぎて危うかったのだと。 それならいつからなら好きを抱いていいの? 誰かを想うことっていけないことなの? ダメの理由もその答えも教えてくれる大人はいない。 大人達から一方的に関係を壊されたままわたし達は中学生になった。
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