30人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしは一言も話さず話し合いを見ていた。結城さんが中心になって色んな事が決まっていく。
「もううちら決めることないね」と言いながら談笑が始まる。抜けるタイミングを完全に逃したわたしはただうつむいてその場に留まる。
「合宿楽しみだよね。うちら協力するから彼氏と抜け出せば」
結城さんの彼氏の話しが始まった。それを聞くのは気まずいから合宿のしおりに目を通して聞こえないふりをした。
「嫌がらないかな洸夜」
洸夜?わたしが知る限りでは洸夜はひとりしかいない。
「大丈夫でしょ。彼氏なんだから断るはずないよ」
「ハイキングも一緒に合流しちゃえば?」
「野球やってたんでしょ?スポーツ万能っぽいし頼もしくない」
「それなら洸夜に聞いてみる」
嬉しそうにのろける結城さん。洸夜の彼女がまさか同じクラスでしかも男女ともに人気のある女子なんて知らなかった。
そもそも洸夜に彼女がいたなんて……
それに野球をやっていた……過去形だ。
将来を期待されて中学校に入った時もあの月村洸夜が入学してきたと話題になるくらいだったのになんで野球を辞めちゃったのだろう?
最初のコメントを投稿しよう!