30人が本棚に入れています
本棚に追加
おさにが100後編
1日目の夜。布団の中に入って中学生の女子がする事といえば恋話。
入り口にいちばん近い場所に集団から少し離して敷かれた布団の中、わたしは聞こえないふりをして背を向けた。
「明日のハイキング月村の班と行動するよね?」
「洸夜に聞いてみたらいいって言ってた」
「よかったじゃん」
ぜんぜんよくない。わたしが気まずい。
ハイキングに行かなくてすむ方法をあれこれ考えた。
「咲良と月村って付き合い出して長くない?」
「入学してすぐだからね。でも本当にあたしのこと好きか心配なんだよね……告ったのもあたしだし」
「なんで心配なの?咲良めっちゃいい子じゃん。好きに決まってる」
そうだよと全員が賛同している。
その言葉が欲しくてわざと聞いたに決まってる。
あざとい。
どうしてこんな子とこうちゃんは付き合っているのか理解できない。
「咲良は月村のどんなところが好きなの?」
「えっ……恥ずかしいな……俺様でドSなところもあるけど」
そんなの知ってる。頑固だし真っ直ぐだから俺様だけどたまに見せる不器用なやさしさがこうちゃんなんだよ。
最初のコメントを投稿しよう!