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ドアを開けた瞬間、気配を感じた。
虫や動物ではない。もっと大きな何かが、闇の奥へと駆け込む気配。気のせいなどではない。
呆然と、玄関で立ちすくむ。
俺は住所を教えたりなどしていない。あいつがどうやって、ここにたどり着けるというのか。
その答えは、すぐわかった。
あまりの単純さに、思わず笑いだしてしまう。
宿帳。
支配人に全く悟られなかったあいつだ。宿帳を盗み見るくらい、わけなかっただろう。神通力に頼るまでもない。
俺が笑うと、同居人も笑った。
騒々しくなりそうだ。
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