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とうとう、座敷わらしは現れなかった。
やり切れない思いで、俺は翌朝チェックアウトした。
新しいホテルのサービスは、流石に一流だった。朝食ビュッフェに大浴場、そしてタイトルが選択できる有料チャンネル。
だが、そんなものは、全国どこに行っても堪能できるのだ。
帰りの電車の中、俺は一つの可能性に思い至った。
あの娘は新しいホテルには憑かなかった──そして、もしかすると、支配人にも憑かなかったかもしれない。
あいつは、他の誰かに憑くことに決めたのではないか。座敷わらしを友とできる、他の誰かに。
そうであることを、俺は祈った。
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