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昔々、正直な木こりがいました。
その木こりが、湖のほとりで木を切っていると、誤って斧を湖の中に落としてしまいました。木こりは困り果てて嘆いていました。
するとヘルメスという神様が湖から斧を携えて現れました。
「あなたの落としたのはこの金の斧ですか?」
木こりは答えます。
「いいえ、それは私の斧ではありません。」
するとヘルメスはまた水の中へと消えて今度は銀の斧を携えて現れました。
「あなたの落としたのはこの銀の斧ですか?」
木こりは答えます。
「いいえ、それは私の斧ではありません。」
再び水の中へと消えたヘルメスは、今度は木の斧を携えて現れました。
「これはあなたの斧ですか?」
「そうです、それが私の斧です。」
ヘルメスは木こりの正直さを褒めたたえ、金の斧も銀の斧も木の斧も木こりに与えました。
その話を聞いた強欲な木こりは自分もやってみることにしました。男は自分の斧をわざと湖に放り込みました。すると湖の中からヘルメスが金の斧を携えて浮かんできました。
「この斧はあなたの斧ですか?」
すると強欲な男は答えました。
「はい、それは私の斧です。」
ヘルメスは男の嘘に呆れて、金の斧どころか男の投げ込んだ自分の斧すら返しませんでした。
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