個人練習とパート練習

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パート練習の集合場所には、以前部活体験で諒と演奏したテラスが指定されていた。 一応集合時刻の5分前に行くと、すでに諒がいてグラウンドに向かいながら練習していた。 確実なリズム、音程の演奏は良い意味で楽譜が見えてくるようだ。本人の実直な性格がそのまま音に表れている。 伊音が近づくと彼も気がついたようで、「早かったな。」と声をかけてきた。 続々と他のメンバーも集まり、5人で半円状に並ぶ。 「じゃー、パート練習始めまーすっ!まずはパート基礎ね!」 「…これ楽譜。」 華からプリントを数枚受け取る。基礎的なロングトーンやタンギング練習、リップスラーなどの楽譜のようだ。 諒が持っていたパート用のメトロノームを鳴らす。カチカチという金属音を聴き、テンポを感じながら息を吐き、カウントに合わせて息を取り込む。 ロングトーンからハイトーンの練習、チューニングを終えたところで30分程経っていた。 ちなみにパート練習を主に進行しているのは実乃梨と諒だが、伊音も度々意見を述べることができた。自由な意見交換の場は雰囲気も和気あいあいとしていて、1年生の伊音でも発言しやすかったし伊音の発言に対するメンバーの反応もよかった。 多少(?)ブラックでも、部内の雰囲気が明るければ楽しめる。中学のこともあり、人間関係て本当に大事なんだなぁとしみじみ思う伊音であった。
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