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-今日は楽器決めの日。
初日から持ち込んでいた自分のトランペットを準備する。
1年生の中でも10人ほどは楽器を個人持ちしているようだ。殆どの場合、楽器を個人持ちしている人間はあぶれることは少ない。相当に下手くそでない限りは。
伊音が適度に体のウォーミングアップしていると、日向に話しかけられた。とはいえウォーミングアップがひと段落ついてからだが。
「やっほ、伊音!ブレストレーニング中?」
「あぁ。」
「僕もやろうかなぁ。あ、そうだ!渚中伝統のブレストレーニングやる?健一郎も呼んでさ。」
「お、いいのか?」
日向が健一郎を呼びに行っている間、説明しよう!ブレストレーニングとはそのまま、肺活量を鍛えたり、息の流れや圧力をコントロールしたりする練習方法である!
(詳しくはまた後日)
「…はい、健一郎もっと息吐いて、息吐いてー。まだまだ!…はい吸ってー吸ってーまだまだ行ける!まだ!まだ!背中にも息入れるつもりで!まだまだ!」
…すげー、スパルタ。鬼軍曹と化した日向と哀れなヒラ兵士の健一郎を見つつ、時間を潰す。
さて、今日の楽器決めの方法についてである。
まず、新入生はあらかじめにパートを第3希望まで決めておく。そして第1希望から第3希望まで各15分ずつ回る。その後、変更がない者は用紙に希望を記入する。ちなみに希望楽器は自分が体験したものでなければ認められないので注意。もともとの希望以外に体験したい楽器のある部員は最後に30分時間をとるので、その時に体験すること。
この際、各パートの2年生に名前を伝えること。
-まあいいや、多分2年生がテストしてるんだろう。上手けりゃ受かる、下手なら落ちる、それだけの話だし。
そう思いつつも、落ちた時の対応を全く考えていないのが伊音である。そもそも、伊音自身がトランペットを吹かないなら2年生が必死に勧誘した意味がなくなってしまう。
「ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。」
「…で、健一郎は何してるの?産むの?」
緊張からか教えたはずのない呼吸方法をする健一郎を日向は呆れた目で見ていた。もちろん伊音も呆れていた。とはいえ放置するには周りの視線が痛い。
「…健一郎、落ち着け。華先輩曰く、今年のトロンボーンパートは多めに入れるらしいから。」
トロンボーンパートは現在華先輩しかいない。確実に2人以上は入れるだろうと伊音は予想している。
トロンボーンは基本的に3パート、たまにバストロンボーンが入る。ハーモニーを担当することが多いので、最低限の人数が必要になる。
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