吹部的戦争その1

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-最初の15分がスタートした。 当然トランペットパートへ向かう。 伊音が唯一知っている先輩、諒はすでに他の部員を担当していた。 「…あ、あの、トランペット希望の子?」 小柄な先輩に話しかけられた。 長い前髪と評価を記録する用紙で、見えている顔が3分の1程度の人。 トランペットにしては珍しく(偏見)控えめな人だ。 「はい、柏木 伊音です。」 「あ、はい。…えと、なんでもいいので吹いてもらえますか?」 随分と大雑把なテストである。 とりあえず伊音は「トランペット吹きの休日」の一節を吹いてみた。そう、あの「休日の割に休みがない。」と有名な曲である。まさにブラックの体現とも言える曲。 お時間あれば聴いてみてください。 -うん、タンギングの練習にはちょうどいいかな。 吹き終わったところで、テスト監督の先輩がなにやら紙に書く。 書きながら、「あ、」と呟き銀色のコルネットを持ってきた。 「コルネットも吹いてもらえる…?」 「あ、わかりました。」 伊音が音出ししている間にコルネットの説明を…。一言で言えば、「見た目はトランペット、音はホルン。」って感じです。でも作り自体はホルンの縮小版でもあります。多くの学校ではトランペット奏者がコルネットも兼任してます。 「…うん、いいね。」 無表情だった顔が、やわらかい笑顔に変わった。十中八九落ちないとは思っていたが、この表情で伊音は少し安心した。
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