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反対に、ピリピリとした緊張感が流れていたのは2年生達である。
「えー、希望者が溢れてるのがトランペットとサックスね。んで、空いてるのがユーフォ(ユーフォニアムの略)とパーカッションか。」
舞は部室のホワイトボードを眺めながら呟いた。
「んー、移ってくれるかなぁ?本当は希望通りのパートがいいんだけど。」
「千弦、流石にうち(サックス)もトランペットもこれ以上は増せんよ。」
「そーだそーだ!」と野次が飛ぶ。おそらくトランペットかサックスの誰かだ。
サックスもトランペットも既に2年が3人もいるのだ。他のパートに移した方がいい。
ーしかし、誰をどのパートに移そうか。
こういう時の為に希望パートを書いてもらい、テストまでやったのだ。
「-トランペットは誰を選ぶ?」
腕組みしながら諒に尋ねる。
既に自分のパートは移す人間を決めたが、トランペットパートは少し悩んでいるようだ。
「うーん、伊音は圧倒的なんだけどな。残りの2人があまり差がなくて…。」
「ふむ…。」
「あ、あの〜。」
おずおずと声がかかった。
舞が振り向けば、ユーフォの2年がプリントを見せてきた。
「渉くんって子ね、ユーフォが第2希望で…。テスト見たけど結構向いてると思うから入れたいんだ!ダメかなぁ?」
「-いや、いいんじゃないか?」
視線も合わせて諒に尋ねる。了承がもらえたので、これで解決だ。
「-よし、移る1年を呼び出してお願い(≒脅し)するか!」
「…でも、断られないかな?」
千弦が心配そうに言う。
「部長直々に行くんだ、大丈夫だろう。」
そう言って舞は腹黒度120%の笑顔を浮かべた。
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