崩れゆく感覚

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崩れゆく感覚

自慢じゃありませんが、私は類い稀な美貌の 持ち主です。        艶やかに光る 白銅の              肌は派 手す   ぎ   ず   淑    やか 、桜   花  の 飾 り が   大和 撫    子  ら し い 奥    ゆ か    し  さ を 引 き    立 てる   。  私 の 優 艶   さに 敵う   方   な   ん    て、 なかな              か御目 に掛かりませ        んわ。若い方 々は特に私の虜。まだ幼い水気ある手で、ガ ラスの器を触るかのように、私の肌を優しく 愛撫されますの。尤も、彼らも年をとるとな ぜかすぐ私に飽きてぞんざいに扱うようにな り、私よりうんと年上 のお姉様方を弄び    始めるのですが。私 に言 わせれ ば 、あんな虹の飾り   だけが自 慢で茶    一色 の肌の 薄っぺら  い女……  おっ    と悪口は   いけませんわ ね。    まあ、きっと     加齢で 美意識 が  下劣な    ものにな って   しま うんで   しょう 。     でも           たった 一人  もう   三十は  過ぎ                て   いるだろ  う             に  私を    たいそう             かわいがった   方が              おられましたわ。
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