ブリーフィングと闖入者

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ブリーフィングと闖入者

さて。道玄坂の勘解由小路邸に帰ってきた勘解由小路は、居並ぶ家族を前にして言った。 「そんな訳で行ってくることになった。メンツは勿論真琴は俺の左にいてくれ。それと静也と田所、影山さん。以上のメンバーだ。ああ忘れてたあと正男な。ところで何故いるんだライルは。お前は留守番だ」 「クソ師匠よ。そもそもどこ行くのよ?それで俺を連れて行かない理由は?呼ぶだけ呼んで帰れってクソすぎねえか?」 「ああ。行くのは中国だ。不快なケルトのガキはトラブルしか起こさんので置いてく。最近いいことなしだな。イギリス帰れ。そう言えば、宿題は済ませてるのかお前達」 「そんなクソみてえなのやってる訳ねえだろう」 「ではライル君に宿題です。上体起こし5000回、背面起こし6000回、腕立て伏せを10万回やってください」 勘解由小路に嬉しそうにくっついていた真琴が言った。 「出来るかあああああああああああ!本当に死ぬだろうが!」 「観測手がいないとごまかしそうだな。ああお前でいい。頼むぞ川峰さんだっけ?」 「いかさまにございます。この川峰、必ずや魔上皇猊下の期待に応えてみせます。ほれ、ちゃっちゃとやるがよい。人間性と知性の払底した下等国民が。猊下御帰還前に終わらせよとの仰せだ」 「ホントブチ殺すぞ下等生物があああああああああああ!」 「パパ。私達はいいの?流紫降(るしふる)もいいの?」 (ジャスパー)に言われて父親は唸った。 「うーん。流紫降はなあ。日本にいてくれ。お前は俺の切り札だ。お前が出るほどのことじゃない。日本を頼むぞ」 「うん解った。父さん。うちは任せて」 まあ流紫降が行くとなると向こう3県の妖魅の大移動になり兼ねないしな。 「莉里は涼白(すずしろ)さんとうちにいるのよさ。涼白さんに絵本読んでもらっておっぱいに顔うずめて寝るのが最近のマイフェイバリットなのよさ。昨日は泣いた赤鬼読んでもらったら涼白さん泣いちゃって頭いい子いい子したのよさ。めちゃ可愛かったのよさ。莉里は涼白さん大好きなのよさ。川峰さんなんか新参者ネチネチいびるくせにメロメロになっちゃってるのよさ」 川峰さんが狼狽えた。 「ぎゃあ!何を仰いますか莉里様!」 「私は行かなくていいのね?(ベリル)と仲よくしてていいの?」 「勿論緑くんは行きます。まだ赤ちゃんですから。真琴は降魔さんと地獄まで一緒です」 「それより池で何があったのパパ?鬼哭は小バス一本しか釣ってないし消化不良で不機嫌そうだし。何やった?影山」 それは。応えようとしたが、それに先だって勘解由小路がキョロキョロしだした。 「ああいた。こいつに聞くのが早い。おい。お前出てこい」 庭の茂みに隠れていたのは中国服を着た陰気そうな男だった。呼ばれて嫌そうに出てきた。 「おい、お前は何だ?」 「え?ええ。ああ。私は伏犠(ふっき)と言います。この度は、うちの妻が失礼しました」 出てきたのは要するに創造神だった。 「ああ判明した。今回は、小鳥遊の救出と俺に喧嘩を売った奴をどうにかする。つまり敵は女媧だ。崑崙山で仙人と仙術バトル展開になる。行くぞ正男」 これっぽっちも行きたくなかった。
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