涙の雫を笑顔に変えよう

19/38

3129人が本棚に入れています
本棚に追加
/160ページ
 気付いたときには、内腿に触れた庸介の手に足を開かれていた。 「よ、庸介さん! やだ……やめて……!」  縛られた手を前にして頭を起こすと、足の間から庸介が唇の片端を上げてニヤリと笑った。  その意地の悪い不敵な笑みに、身体の奥が大きく波を打った。  たぶん、いや確実にひどく濡れているだろう。それの部分に庸介の視線を感じる。それだけで溶けてしまうかと思うほどにそこが熱くなり、さらに潤いを増し流れていくのが分かる。恥ずかしい気持ちさえもが感度を高めていく。 「い……やだ、見ないで……くだ……あぁっ!」  初めて感じる感触だ。指とは違う。柔らかくいやらしくぬめる温かいものが、沿うように動いている。  ーーそんなところはダメです、汚いからやめてください!  そう言いたいのに言葉にならない。  抗うことのできない甘美な悦楽に堕ちていく。  指が挿入った。声が止まらない。絶頂に近づき足に力が入っていく。  あと少しで高みに上りつめるというところで、指が抜かれ艶めかしい快感が遠のいてしまった。  荒い呼吸のままに横たわっていると、腕のネクタイが解かれた。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3129人が本棚に入れています
本棚に追加