涙の雫を笑顔に変えよう

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 暑い。首にじんわりと汗が滲む。  庸介の意識が深い微睡みから現実に戻った。暑いのは、椿を抱きしめているからだろうと思い腕を動かしたが、柔らかな身体はどこにもない。  目を開けると、隣に椿はいなかった。  起きたのか? 庸介は起き上がると床に放ってあるハーフパンツを履きTシャツを着てもう一度乱れたベッドに視線を投げた。  一人で寝ていたベッドに並ぶ二つの枕。それだけで幸せな気持ちになる。きちんと畳まれたソファの上のタオルケットが、すでに椿は起きていることを物語っている。  だいたい椿は庸介よりも目覚めるのが遅い。その寝顔を見るのも楽しみの一つだ。  椿が早起きなんてどうしたのだろう、久しぶりの家で寝つきが悪かったのかもしれない。  それに、昨夜は身体に負担を掛けすぎたかもしれない。  庸介はリビングに向かう足を速めた。  
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