涙の雫を笑顔に変えよう

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 部屋の入り口から覗くと、かごを床に置いて椿は両手で頬を押さえていた。しばらくその場に佇み、おもむろにかごを持ち上げると外の椅子の上に乗せて洗濯物を干し始めた。  時々手を止めては、ふうっとため息をつく。  やっぱりおかしい。  庸介は足音を忍ばせ背後に近づくと、大きな手で椿の目元を覆った。  よほど驚いたのであろう。派手に肩をびくっと上下させると、椿は手に持っていたバスタオルを落とした。   「……何かあった?」  庸介は目元を覆っていた手を下げると後ろから椿の肩を抱きしめた。 「朝から避けるのには、なにか理由があるのだろう?」 「避けては……いません」  肩を抱きしめる腕を椿はギュッと握った。 「ただ……」 「ただ?」  庸介の腕を握る手を離すと、その手で椿は俯く顔を覆った。  
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