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「ただ、時々間違った解釈をしていることがある。それは、俺も然りだ。だからこれからは、互いに分からないことは相談し、間違いがあれば是正して、決めなくてはいけない事柄は話し合っていけたらいいと思うんだ」
「確かに、その方が会話が増えますね」
なるほどといった顔で頷く椿に、庸介も微笑んで頷いた。
「あ、もちろん普段から会話はありますが、もっとこう……深いところを話すというか、コミュニケーションも増えますしとてもいいですね。賛成です! これからは分からないことは庸介さんに相談します。庸介さんも何かあれば私に相談してくださいね?」
そして、あふれんばかりの笑顔。
だから、椿が好きなのだ。庸介は椿を抱きしめた。
「そうするよ」
さっきまでウジウジと泣いていたのに、一度腹に落ちればきちんと認め真っ直ぐに受け止める。
素直で可愛い、俺だけの椿だ。
「なんだか……私はいつも庸介さんにお手間を掛けさせて、すみません……」
申し訳なさそうに顔をしかめる椿の頬をまた両手で挟むとキスをした。
「本当だ。椿は手が掛かって仕方ないな」
「すみません……」
「じゃあ、お詫びに今度仕事に付き合ってもらおうか」
「お仕事ですか?」
「来週末、出版社……高深社主催のパーティーがあるんだ。それに、一緒に行ってほしい」
椿は目をまん丸にすると、思わず吐く息を止めた。
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