涙の雫を笑顔に変えよう

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「私が……ですか?」 「ああ。俺の婚約者としてね」  婚約者。そう言われてはにかみながら、椿は指先で短い髪を弄んだ。 「中島さんと鈴木さんにぜひ椿もと言われているんだよ。……杉山さんも、来る」  杉山の名前を聞いたその瞬間、椿の顔が強張った。 「椿に詫びたいと言っていた。俺としては一緒に行ってほしい。でも、椿の気持ちが第一優先だ。躊躇いがあるのならば、やめた方がいいと思う」  躊躇いがないわけではない。出来れば杉山には二度と会いたくない。椿は考えていた。 「何のパーティーなんですか?」 「チャイルドアイの映画化のお祝いと新作のお披露目みたいたものだ」  病室で、映画化の話を嬉しそうにしていた庸介を思い出した。
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