愛しい君へ、愛しいあなたへ

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 珊瑚色よりも少し淡くて青みのあるサテン生地のワンピースだ。  膝丈で、デコルテの辺りと袖は同色のレースが施されている。ウエストのサテンのリボンがポイントなのだろう、フェミニンな雰囲気の中に可愛らしさが表現され、まるで椿のために誂えられたかのような、そんなワンピースだ。   「どうですか……?」  探るような上目づかいで、短い髪を指先で引っ張りながら、椿はスウェットにワイシャツを着た庸介を見上げた。 「やべーな……完敗だ」  庸介は片手で口元を覆うと、目を細めた。 「完敗?」 「ああ。笹川さんに完敗だ。とてもよく似合ってるよ。まるで……」
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