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当然のことながら、お風呂の中ではなにも余計なことはできなかった。
椿はといえば、そばにいて欲しいけど見ないで欲しいの一点張りで、揺れる胸をチラリと見ただけでしっかりと椿の裸を目にすることは叶わなかったのだ。
腕の中で安心したように眠る椿を見つめながら、短い髪を地肌を撫でるように梳いた。
でこぼこしたものが指先に触れる。
ひとつ、ふたつ、みっつ。
眠っていた間のことを椿は何も聞かない。その話題を避けてさえいるように感じて、両親も庸介も何も言わなかった。
特に話すこともないと庸介は思っていた。
椿は眠っていて、毎日自分と母が付き添っていて、それだけだ。
変わったことといえば、庸介の髪が伸びたことと手の骨折が完治したことくらいだ。
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