涙の雫を笑顔に変えよう

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 椿の身体が動き、庸介の頭に腕が伸びた。  ふいに引き寄せられて椿の唇が庸介の唇に重なった。  すぐに離れ、甘く熱い吐息が庸介の首にかかった。たったそれだけで、強くはめたはずの箍は簡単に外れる。  庸介は椿の顎に手を添えると黙って、熱を舌伝いに椿に吹き込んだ。  椿の舌が庸介の熱を絡め取っていく。  椿が下着を着けていないことは分かっていた。庸介はパジャマの中へ手を滑り込ませた。背中から脇腹へと遠回りをしてから触れて、下から包むように胸に触れた。吸いつくような肌の滑らかさも、胸の程よい弾力も柔らかさも、そしてサイズも入院前と変わらないことに庸介は安心すると、パジャマから手を抜いた。  不服そうな顔で椿が庸介を見上げた。 「なぜ、手を抜くんですか?」  良からぬ欲望が庸介の中に渦巻く。 「……抜いて欲しくなかった?」  椿は睨むように見上下ている。  困らせたい。  困らせて、焦らして、椿の口から言わせたい。何をして欲しいのか教えて欲しい。
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