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「……さっき言ったじゃないですか。抑えられなくてそれ以上を私に求めると」
「今まで散々待ったからね。まだまだ待てそうだし、我慢できそうだ」
ニヤリと意地悪に笑う庸介をやっぱり椿は睨んでいる。
椿はその手で、まるで肉付きを確かめるように自分の身体のそこかしこに触れた。最後に髪の毛先を引っ張るように摘まむと泣きそうな顔を伏せた。その顔を覗き込もうと、庸介は身体を起こした。
「やっぱり……私は魅力がないですか?」
「な……!」
なにを言ってるんだ! そう怒鳴ろうと喉を過ぎた言葉を庸介は飲み込んだ。
「なぜ……泣くの?」
椿の瞳から涙がこぼれる。理由は帰ってきた直後と同じであろう。
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