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縁と言う名の
取り調べかと、牢の中で姿勢を正したが。そうではなかった。
「ちょいとばかし、お前に聞きたい事があるんだ?まあ大した事じゃねえが…あの椿の唄なんだが…あの物語の先をお前知って居たのか?」
半分は創作の唄だと思っていたが…意味がわからない。怪訝な顔をすると、人の悪い笑みを浮かべて
「そうか…桔にとっても意味などどうでもよい話だったな…まああっさり熱が引いてけろっとしているぞ…お前の方が危なかったんだ…もう大丈夫だな?良かった良かった。実はあの唄は呪いの唄だと、喚く馬鹿が居て困っていたのさ。だから知っているかどうか聞いて見たかったが、知らないならいい。」
唄の物語を俺は知らない、あの唄は人さらいがよく口上に使っていた唄だった。俺は、自分の親より、この人さらいが…信用できた。飯だけはまともに食わせてくれたから。まあそんな些細な理由だったけど…。
「俺を世話してくれた人が、よく口上に使っていたので覚えちまったんですが、その先はあまり覚えていないんです。何時も一節終る前に、飯など恵んで貰えたんで…いやあの…。この先はあまり知らない方がいいとか言われて…あの…これって…。」
録な育ちではない。其所まで話して…言葉が出なくなった。
「言いたくねぇ事は、言わなくていいよ。桔は見た目があれだから…大丈夫だったのだろうけど…ただ、此処から先はあまり立ち入らせたく無いんだ…。お前さんの方がそっちをどうにか出来るのでは?と思っているんだよ…まあ俺の勝手な考えなんだがなぁ…此処から先は捕物じゃ無い!だが、人が一人死んでいるんだ大変な事なんだよ。だからお前さんにしか頼め無いんだ…。よくよく考えて返事をして欲しい。」
お前にしか頼め無い事だと改めて言われ事が、自分と全く無関係ではない事がわかった。
「あの椿の唄とこの先何か起こる事が、何か関係あると思っているのですね?詳しい話を聞かせて下さい!あっしに出来る事なら、うまく行くかどうかは、わかりませんがお手伝い致します。」
お前にしか頼め無い、それがどういう事なのか詳しい話を聞いて見たいと思った。桔と言う少年には頼め無い頼みの意味が薄々読めている。
「本当にそうしてくれるか?ああこれは有難い!それではあの椿の物語を、お前さんに背是非知って貰わなくちゃならねーな。玉屋の椿を巡って…吉原で人が死んでいる。まあ自業自得とも…言うんだがな…。軽業小屋を潰された怨みなんて話を変えられたら顔向けが出来ないんだよ…。」
話が決まったと思ったのか、玉屋の椿にまつわる不思議な物語を俺は、聞く事が出来た。あの桔とか言う少年、ひょんな事から、大変な縁を拾っていたようだ。高熱を出してふらふら処か、それが半分仮病だと聞いて、大した役者だと苦笑いが止まらなかった。小僧を助けるつもりが、あの小僧に助けられていた。水車小屋には血気盛んな旗本の奴達が火を着けていた。元お頭が、俺は殺されたのかと心配して気ではなかった。
「盗賊の経歴は消せないが、お前だけにお頭の経歴に汚点を着けた訳は話そう。確かにお頭は人なんか殺しちゃ居なかったが、相模屋の女将が居なくなっていたのさ。それで錠前をあける必要があったんだ。役者上がりの旦那が必死に儲けようとして騙された跡が見つかったよ。旦那は蔵の内側に細工していたんだ…。まあどうでも良いが、お前は親よりさらった人間の方を信用したその理由を説明してもらえたら御の字なんだ。死んだ相模屋の女将は、自分の両親を鬼か何かと思っていた様でね?その辺の事情と繋がるのではと思ったんでね?」
細工を見た時の女将さんの顔を忘れられないんですよ…。だから、回向はここでさせてもらいます。相模屋には何もありませんから。和尚はそう言うと、女将を行方不明者のまま葬った。相模屋の悲劇はそこから始まっていたのかもしれない。残った婿迄姿は消えている。良く似た女の残骸が座敷に幽閉されていた。その事和尚はそっと打ち明けてくれた、
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