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いまだ驚きを顔に出す彼に対して、営業スマイル半分、素のスマイル半分の笑みを向ける。
「私にできる事があれば、お手伝いしますよ。」
「えっと……。」
いくら仕事とはいえ、自分のことを「私」というのはやっぱり違和感があるな。
目の前の彼の言葉を待ちながら、俺は一人呑気にそんな事を考えていた。
「あの。」
「はい。」
「日記帳、知らないですか?」
「……ああ、昨日の。」
「やっぱり!!」
いきなり大声を出した彼に、俺は慌てる。
「えっと、すみません。ここは図書館なので……。」
「……えっ、あ。すみません。」
「いえ。次から気をつけてくだされば大丈夫です。ここじゃ話しにくいと思うので、談話室に移動しましょうか。」
俺はニコリと笑い、彼を談話室の方に促す。
その途中で、カートを戻し、とりあえずと昨日遺失物入れに放りこんだ日記帳を回収した。
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