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高々これきしのことで壮大な思考に発展した俺は、気を取り直すように軽く咳払いをした。
「東雲さん、どうしました?」
「え、ああ。えっとね……。」
『東雲さんのファン』改め、『東雲さんの職場の後輩』である俺は困った様子の彼女に助け舟を出す。
もっとも、彼女が困っている原因は大概俺のこの奇妙な反応の所為なのだが、そこはスルーの方向で。
本当は『東雲さん』ではなく、『東雲様』と呼びたいくらいなのだが、さすがにそこは自重する。
万が一にでも口を滑らせてそんなことを言ったら、警察を呼ばれそうだ。
東雲さんではなく、その隣にいる番犬のような先輩に(ちなみに女性)。
「配架をね、お願いしたくて。」
「りょーかいしました!」
女神様のような東雲さんの言葉に、俺は元気よく返事をした。
元気よく返事はしたが、声のボリュームはきちんと抑えた。
なぜなら。
「図書館内で騒ぐなよ。」
そう、ここは図書館だからだ。
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