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「特別攻撃隊が出てきたとなると、シモンの隠れ家を突き止めたに違いねえ。シモンが討たれるか、あの女の首が狩られるか、どちらにせよこれから血の雨が降るぜ」
剣士の血が騒ぐのか、男は興奮を隠しきれないようすだった。先ほどの狼狽ぶりとは打って変わって、目を爛々と輝かせながら武者震いしている。
「どうだい、少し見物していこうじゃねえか」
「冗談じゃねえや。大量のヤクを抱えたままで、呑気に捕り物見物なんかしてられるかよ。それこそボスに首を狩られちまわあっ!」
細身の男が急かすように走り出した。大柄の男は名残惜しげな表情で後ろを振り返りながら、後に続いた。
男たちは裏通りを走って、夜の闇へと紛れていった。
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