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The day
或る年の5月の水曜日、午後3時。
中学校の授業が終わり、下校途中だった真千は、
大学生の男に襲われ、その命を奪われた。
犯人の男は、犯行後に現場から立ち去る姿を目撃され、
逃走の最中に交通事故に遭い死亡した。
桜井はどれだけ涙し、苦しみ、悔やんだか分からない。
自らの手で犯人を罰してやりたいが、それすらも叶わず、
行き場のない感情は宙を彷徨い、ただただ虚しさだけが募った。
もし、あの日、あの時間、あの場所に行くことが出来たなら、
犯人と刺し違えてでも、娘を恐怖から救い出してやるのに。
そんなことを強く思い始めた頃、それは、唐突にやって来た。
桜井は、過去へ時間を遡る能力を身に付けたのだ。
なぜ?どうやって?なんて、桜井自身にも分からないし、
仮に分かったところで、そんなことはどうでも良かった。
一刻も早く娘を救い出す。桜井の頭の中は、それしかなかった。
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