100年目の約束

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大きなスーツケースをゴロゴロと転がして京都駅を出ると、すぐに車の中から満面の笑みで私に手をを振る爺ちゃんを見つけた。 「よしっ!」と気合を入れて両手でスーツケースを押しながら私は爺ちゃんの車までやってくると、勢いよく頭を下げた。 「四年間っ!よろしくお願いします!」 「えぇよ、えぇよ、四年と言わずずっとおってもえぇぞ」 私のスーツケースを車のトランクに入れて二人で車に乗り込むと、爺ちゃんはゆるりと車を発射させた。 この春から京都市内の大学に通うことになり、私は東京の両親の元を離れて京都の祖父母の家から通うことになったのである。家につくと笑顔の祖母ちゃんが迎えてくれた。母さんが昔使っていたという部屋はきれいに掃除がされていて、窓を開けると鬼ケ城の山が一望できた。少し空気は冷たいけれど、空には雲一つないまさに快晴だった。 窓から吹き込んだ風に前髪がサラサラとなびいた時、私は無意識に自らの額に手を当てていた。そして、ふいに遠い記憶を思い出した。 昔あの山に家族で行った時のことを・・・・・。
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