1.都会からの転校生

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 しばらくたわいもない会話をした後、蓮が何やら言い出しにくそうに話を切り出してきた。 「なぁ……今日転校してきた杉本さんのことだけどさ」  その名前を聞いただけで、一気に憂鬱な気分に突き落とされる。何となく、あたしは蓮のいない左側の田んぼに目を向けた。 「俺、ヨッツから彼女のこと『気にしてやってくれ』って頼まれたんだよね」  彼女と席が隣っていうだけで、蓮はヨッツから杉本さんのことを頼まれたらしかった。きっとクラスの女子の雰囲気を感じ取って、敢えて連に頼んだんだと思うけど。 「良かったじゃん。彼女、美人だし」 「バーカ。そんな問題じゃねぇんだって」  皮肉を込めたあたしの言葉に、蓮は声を強めて反論する。 「『気にしてやってくれ』って言われてもさ、男の俺じゃ限界があるだろ?」 「まあね」 「だからさ、おまえも俺に協力してくれよ」 「――はぁっ?」  あたしは思わず足を止めて、蓮の顔を凝視した。 「やーよ、何であたしが?」 「だってさ、他の女子も彼女のこと嫌ってそうだし。こんなこと頼めるの、おまえ位しかいないんだよ」
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