首吊り

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椅子を蹴って足がつかなくなったら、私は完全に首が締まった状態になるのだと思うと、どこか恐ろしい気持ちとともに高揚とした気分になった。 何度か深呼吸をして体の力を抜いた。 目を閉じた。暗い視界が酷く心落ち着いた。 足だけに力を入れ、少し膝を軽く曲げてぶら下がった。 首がベルトで圧迫された。 ベルトは細ベルトだったので位置を調整すると完全に息が吸えなくなった。 息が出来なくなった。 段々と、手足に力が入らなくなっていった。 暗いはずの視界がチカチカと白いものが光り始めた。 結局は足に力が入らずに椅子に足をつけてしまった。 怖かったのもあるのかもしれない。 だが、実際にぶら下がってみて思った。 息苦しいという感じはしなかった。ただ、酷く身体に力が入らなくなった感じがした。 失敗して、ああ、自分はやっぱり意気地なしだったのだと悲しくなった。
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