最終

1/2
前へ
/18ページ
次へ

最終

日々を過ごす中で、段々と自分と向き合う事が出来てきたように思う。 言うなれば余裕が出来てきたのだ。 勿論、ずっと眠っていたいという願望と、死への憧れは無くなってはいない。 だけども、もう少し生きても良いと思う自分もいる。 だからこそ、これで終わりにしようとまた細ベルトで首を絞めた。 何だろうか、酷く自分が曖昧になっていく感じがした。 自分で言うのもアレだが上手く出来たと思う。 完全に呼吸が止まって、閉じた目の中の視界の暗闇にチカチカと白い光が瞬いて。 死ねると確信した。 ブチッ すぐ近くで何かが千切れた音がした。 遅れて、とても大きなものが倒れる音がした。 ふと、気づいたら床へと座っていた。 使っていた椅子が少し遠くで転がっていて、近くにあったのでゴミ箱も椅子の近くで倒れていた。 右足の小指がジンジンと痛みを訴えていて、ああ椅子かゴミ箱にぶつけたのだと察した。 手元には二つになった黒い細ベルトが転がっていて。 全体重に耐え切れず千切れたのだと、察した。 それに酷く悲しくなったと同時に安心した。 それから、首を絞めることはなくなった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加