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「南海さんって絵上手だし、そっち系とか目指してんの?」
結城くんは椅子に座ったまま、ぐっと体ごと近づけて言った。
この綺麗な瞳に見られるのはやっぱり慣れなくて、手に汗が滲む。
赤く染めた顔を伏せて、「…そんな、まさか」と否定して見せる。
「…もっと上手に描ける人なんてたくさんいるし、趣味程度で…」
「ええっ、もったいない! 漫画家とかイラストレーターとかなれるって」
「………」
「そういうこと今まで言われたことない? 家族とかに」
……ない。
というか、恥ずかしくて自分が描いた絵を見せたことなんてあまりない。
誰に褒められなくても一人で描いてるだけで十分楽しいから。
「じゃあ俺、ファン1号だ♪」
なのに彼はそう言って、屈託のない笑顔を見せた。
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