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逃げようとする俺の腰をがっしりと押さえつけて、桜井蒼汰が再び右手を上下させてくる。あっという間に芯を持ってしまった俺のそれが、桜井蒼汰の手の中で卑猥に濡れた音を立て始めた。
「やっ、めろ……もう、放せっ……」
混乱して、頭の中の収集がつかない。どうすればいいんだろう。もしかしたら大袈裟でも何でもなく、これで俺の人生は終わったのではないか。
だってこんなの、どう考えたって大ピンチだ。
「い……言わないで」
「ん?」
「お願いだから、あ……武虎には、っ……言わないで」
自分でも哀れに思えるほどの気弱な声、そして情けない言葉だった。
「俺が、そんなこと言う奴に見えるか?」
流石にムッとしたのか、桜井蒼汰が不機嫌そうに目を細める。
「だって、だって……こんな、のっ……あぁっ!」
こんな状況なのに、猶も激しく扱かれる下半身の刺激に耐えることができない。俺は低く身を屈め、桜井蒼汰の肩に額を押し付けてしゃくりあげた。
「お願、ぃ……だから、言わないでっ……」
「落ち着けよ翼くん、コッチに集中しろ。そろそろイきそうなんじゃねえの」
「あっ、あ……! 嫌、だ……もう、無理っ……」
屹立したその部分から体中に強烈な電流が走り、俺は腰を痙攣させながら桜井蒼汰にしがみついた。それが射精の前兆であることは分かっていた。
「出、ちゃ……う、からっ……あぁっ!」
「おっと」
上着のポケットから取り出したハンカチで、桜井蒼汰が俺の先端を包み込む。体が燃えるように熱くなったと思った瞬間、俺はその中に白濁液を放出させていた。
「は、ぁ……」
徐々に引いてゆく熱。目の前に散る星、虚脱感に体液の青臭さ──。俺は目の前の男にしがみつき、力の抜けた体をぐったりと寄り掛からせた。
「大丈夫か」
「大丈夫……な、訳ない」
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