100日

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100日

手短な椅子で、壁を叩くが壊れる気配は全くない。 「10」 残り10分というカウントを見たヨシユキは、壁を叩くのを諦め、それまで叩いていた壁にもたれかかった。 「9」 力を入れて叩いたため、手のひらはぐっしょりと濡れている。 それが汗なのか血なのか暗闇の中ではわからない。 「5」 ヨシユキは、これまでの人生を見つめ治していた。 突然始まった機械の暴走と、それによる戦争。 「4」 映画や小説などの中だけと思っていたが、 それらが警鐘だったことは、戦争が起きてからわかった。 「3」 ただ、小説や映画と違い、人類の完全敗北。 微かな逆転の余地すら残されていなかった。 SNSや電子メールなどのコミニケーション、機械制御による銃器…… ほとんどが機械の管理下にある今の人間に勝ち目なんてなかった。 「2」 むしろ、よく75日ももったものだ。 機械たちは、赤外線センサーなどを使い、人間の場所をことごとく探知していった。 「1」 残り1分…… 「0」 ヨシユキの目の前にあった装置が白く光る。 「オワッタカ……」 「コノ人間ハ、ダメダ。」 「アア。臆病デ攻撃的……」 「モウショック死シテイルノデ処分スル手間ハ、省ケタガナ。」 機械に敗れた人間は、定期的に機械に敵意がないかの検査を受ける。 だが、それは人間の感情などは考慮しない機械的な検査。 人類滅亡のカウントダウンは、止まることがない。 「100」 「99」 「98」 ……
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