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100分
4月24日22時20分……
疲れて眠っていたヨシユキが眼覚めると、目の前が真っ暗になっていた。
辺りは真っ暗だが、微かに灯りが見える。
ヨシユキは、物にぶつかりながらその灯りに近付く。
それは、デジタル表示された数字の灯りだった。
数字の表記は
「100」
その灯りが着いた装置を引っ張り外そうとするが外れない。
ヨシユキは外れれば、その灯りを頼りに、部屋の中を探索しようと考えていたが、どうやらそれは叶いそうにない。
そのとき、
数字の表記に変化があった。
「99」
カウントが減った。
100から99へとカウントが減った。
ヨシユキは、装置をじっと眺めた。
「98」
ぶつぶつ言いながら、数を数え始める。
「97」
「96」
ヨシユキは、このデジタル表示が約1
分毎に減っていっていることに気がついた。
「83」
そして、もう1つ気がついたことがある。
装置から時計の音がしている。
カウントダウンしているので
デジタルにしろアナログにしろ
機械音がするのは当然なのだが、
ヨシユキは、それを不安に感じていた。
「82」
ヨシユキを不安にさせる要素は、
壁ごしに聞こえてくる銃声のような音……
銃声……カウントダウン……
つまり、これもおそらくは時限式の爆弾。
ヨシユキは、
銃声が聞こえたのとは反対側の壁を叩いた。
音が聞こえるということは、
・かなり近くで発砲したか
・かなり音が大きかったか
・この壁が薄いか
のどれか……
爆弾から逃れるためには
暗闇で出口を探すよりも
壁を壊した方が早いと考えていた。
人類を管理しようとする機械たちとの戦争が始まって100日……
それが、ヨシユキを不安にさせる最大の要素だった。
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