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「その、単なる実験といいますか……とにかく、あたしは敵じゃありませんから。むしろ恋のキューピットになってあげても良いんですよ」
「は?」
この女が何を言いたいのか、全然分かんねぇんだけど。
「まぁまぁ。そんなに険しい顔したらイケメンが台無しですよ?」
「あんたさぁ」
俺、自分のことそんなに馬鹿だと思ってなかったけどさ。
なんか状況が全く読めない。
「細かいことは考えないで」
彼女は胡散臭い笑みを浮かべて、名刺大の大きさの紙をテーブルの上で滑らせてきた。
「断言しちゃいますけどね。今のままだと、お二人が結ばれる可能性……ゼロですからね?」
「……ぅ」
「じゃ、ご馳走様です」
おもいきりタチの悪い笑顔を浮かべて薫子は立ち上がった。
「お、おい……」
俺の動揺もお構い無しに彼女はそのまま店を出てしまった。
「……なんなんだ。あの女」
残されたのは唖然とした俺と、連絡先の書いたメモと伝票だけだ。
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