怠惰と惰性の狭間の女とは

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結婚前提で付き合いませんか。と、ぎこちなく不器用そうに。 しかも少し頬を染めて言った彼にあたしは満面の笑みで頷いた。 湧き上がる感情を抑えることが難しく、恐らく顔に出ていたんじゃなかろうか。 ………なにこの可愛い生き物! 受けね。受け攻めで言えば受けなのね!? めっちゃ萌える。この人萌える人だァァッ!! うん。あたし腐女子。年齢的には貴腐人か。へっ、痛いのは100も承知よ。 ほらほら見てみなさい。目の前の男を。35歳という年齢なのに驚きの肌質!色白いっ、顔小さっ! 顔もなかなか可愛いじゃあない。 あたしちょっと顔の良さそうな雰囲気だけそれっぽい男をイケメン表記するのあんまり好きじゃあないのよね………でもこの人ならイケメンと表現したい。 初めての婚活パーティーに行った時のことをうすーく思い出した。 もうね、五割方妖怪みたいな男女が集まっていて絶望通り越してすごく興奮した。 男性の方もなんか七面倒臭いのがたくさんいて喋るのにすごく疲れたし。 あたし、自分の容姿に自信がないためか相手の容姿にもそんなに期待も希望もなかった………と思ってた。 でも違うのね! 清潔感大事っ! 鼻毛ボーボーで極度に太っているのは駄目だって学んだ。生理的に無理って言うのを感覚的に理解したのは初めてだった。 そんなんで終盤来るまでにぐったりしてたら、声をかけてきたのが岸 龍之介(きし りゅうのすけ)さんってわけ。 腐女子だってことと割とディープなオタクだってことは隠して、ちょっと漫画好きな女の子(笑え)のていでここまで来た。 でも一番緊張する展開はここから。 あたし男性経験ない。女性もないけど。つまり処女。初心者。教習所すら卒業してねーわよ。 この歳で引くよね。あたしなら引く。来月には30になるっつーの。 いきなり初彼氏がこんなイケメンなんて………割と毎回会う前は血吐きそう。緊張と喜びでな。 んでさ。初めて休日前の夜に会ってね。当然酒飲むじゃない? 大人だしぃ。 でイベント発生の『終電逃しちゃったぁ』ってやつ。………ごめん嘘ついた。 あたしが強引に帰さなかった。『まだいいじゃないですか』って。 だってだってだって! ………龍之介さんと彼の幼馴染の話が超面白かったんだもの!!
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