マドモアゼルナナ

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マドモアゼルナナ

私のの名前はナナ。もうだいぶおばあちゃんになっちゃったけど、若い頃はみんなに美人さんって呼ばれてたのよ。 もちろん今だって毎日毎日、可愛いねぇって、言われるの。 だって、ほんとに可愛いんだもの。 どうしてかわかる? それはね。。。 このお話は、猫のナナちゃんのお話です。 ナナちゃんは、もう長いこと、この、大きなお家で暮らしています。 途中に、 ワンコが何度か入れ替わったり いろんな人が出入りしたり なかなか、バタバタと忙しいおうちですが ナナちゃんはいつもそんなおうちのお母さん達をゆっくりと眺めているのが大好きでした 長い月日が経つ間は 具合が悪くなったり ワンコと言い争いをしたり 色んなことがあります でも、どんなときも、ふかふかの毛布で おやすみなさい をする時に、幸せの珠を貯金して眠るのが大好きでした だんだんだんだん 歳をとっていくと、幸せの珠は、持ちきれなくなるほどに増えていきます。 持ちきれないものを動物達は持ちません だいぶたくさん貯まってきたなぁ ナナちゃんは、この幸せの珠を眺めて呟きました この珠の数はそれぞれ決まっていて、 ここでいっぱい! というのも自分たちは生まれた時からわかっています。 この所、とても眠くなってきたナナちゃんは、 この珠をお空に届けに行く日が近くなったと思いました。 一緒に暮らす フウと、タツにも ずいぶん貯まったね という話を何度もしてきたけど お母さんの準備がまだ出来てないので もう少しだけ貯めておこうかなとおもってるんだよと 伝えてあります。 フウと、タツは、 あまり話すことも無いけど ここのところのナナちゃんの体調のことはヒソヒソ話してるのを聞いてたのです。 そんなある夜 お母さんが、私を見て、ポロポロと泣くと 可愛いねと呟きました お母さんはいつもいつも 可愛いねと言ってくれます ナナちゃんは、 100万回も、200万回も 可愛いねと言われてきました 可愛いねといわれると どんどんどんどん 可愛くなる魔法がかかるのです。 だから ナナちゃんは とっても可愛い子になったのです。 その夜の涙を見てナナちゃんは 可愛いもたくさんもらった。 お母さんも準備が出来た そう思いました ね? わたしがかわいいってどうしてかわかった? たくさんの かわいいと 幸せの珠をもらったから こんなにかわいいのよ。 さぁて そろそろ行かなくちゃ でもね、 お母さんがまっててね、って言ったから もう少しまってるわ。 フウと、タツにそう告げると フウは黙って後ろに下がり タツは じゃあ、 歌を歌ってあげるね と ぼそっと言いました 毎日鳴るチャイムにあわせて2人はいつも歌うのです チャリ-ン チャイムがなり始めました 2人の歌が聞こえてきます ふかふかのお気に入りに頭をうずめて いつもより下手くそだわ 口の端を少しだけ曲げてにこっと笑いながら ナナちゃんはそっと目を閉じました。 幸せの珠を抱えきれないほど手に持って おわり 龍翔流
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