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「(あぁ……砂はなんて痛いんだろう)」
乾き、ひび割れた大地。小さく軽いはずの細かな砂粒が、吹き荒ぶ風に乗って、まるで石礫のように鋭く打ちつける。旅着はそこそこ頑丈だが、もはや意味を成しているか疑わしいほどに、襲う痛みは身の内側にまで及んでいた。
数週間ほど前が旅初めの少年にはひどく応えた。いや、彼に限ったことではない。たとえあの王立探険隊であったとしても同じだったはずだ。
あまりの勢いに顔を逸らすと、視線の先に岩場を確認できた。と言っても、小さな岩が数個連なっているだけの心許ないものだ。それでも僅かでも風除けに適していれば、まだ歩くことができる。道のりは、長い……。
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