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「神様、明日生まれるベビーの才能の付与がまだ済んでません!」
「こちらもです!」
「こちらも!」
「待っておれ! まだこのベビーの才能付与が……」
「神様ー! まだですかー?」
才能付与管理局では「こっちはまだか」「こっちにもまだか」と催促の電話が朝から鳴りっぱなし。
立て続けにやってくるおめでた情報により堆く積まれる資料の山。
資料整理に加え、才能を与える業務(要はプロフィール作り)。
天使も皆不眠不休。神様でさえも付与業務に追われ、目が血走っていた。
「うむむ、この子の両親は学生時代に音楽の成績がよかったようじゃから音楽の才能を……。いや、父親の祖父母が山形の天童出身? ならば将棋か? 将棋の才でいくか?」
「神様、落ち着いてください、天童出身者の血を引くからといって将棋の才に目覚めるとは……」
「ほう、この子は“大根”という苗字の家に生まれるか。ならば東農大名物大根踊りをキビキビと踊れる才能を……」
「神様、しっかりして!」
そうこうしているうちに、ついに──。
「もう無理……寝たい……寝る……。ガクッ」
「神様ーーーー!!」
神様が倒れた。
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