天界のお仕事

5/5
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「次で本日の最後です!」 「最後は“百年に一人の野球の才能”です!」 「すげぇ! 大きく出たな。MLBのMVPレベル?」 「賞に名を冠するぐらいの伝説級かも……」 「えー? 何だってー?」 「あ、すいません、代理! “百年に一人の野球の才能”です!」 「はいはい、了解……っと。よし! 期日間に合ったー!」 「お疲れ様でした!」 「お疲れ様ー!」  ちょうど終業のチャイムが鳴り、天使たちは労をねぎらい合いながら帰り支度を始める。  本日神様代理を務め書類作成に勤しんでいた天使某は、忙しなく羽根ペンを動かし続けていた手を休めた。 「ああ、これもお願い」  そして、近くにいる秘書天使に捺印済みの書類の束を手渡す。 「最終チェックはされましたか?」 「あーうんうん、大丈夫。煙草煙草ー」  と秘書天使の注意も聞かず、天使某は逃げるように執務室を出た。  呆れる秘書の手に積まれた書類の一番上には、間もなく生まれるある一人の男の子のプロフィールと付与された才能が明記されていた。  その子の苗字は野良(のら)。間もなく球男(たまお)と名付けられる予定だ──。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!