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「次で本日の最後です!」
「最後は“百年に一人の野球の才能”です!」
「すげぇ! 大きく出たな。MLBのMVPレベル?」
「賞に名を冠するぐらいの伝説級かも……」
「えー? 何だってー?」
「あ、すいません、代理! “百年に一人の野球の才能”です!」
「はいはい、了解……っと。よし! 期日間に合ったー!」
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様ー!」
ちょうど終業のチャイムが鳴り、天使たちは労をねぎらい合いながら帰り支度を始める。
本日神様代理を務め書類作成に勤しんでいた天使某は、忙しなく羽根ペンを動かし続けていた手を休めた。
「ああ、これもお願い」
そして、近くにいる秘書天使に捺印済みの書類の束を手渡す。
「最終チェックはされましたか?」
「あーうんうん、大丈夫。煙草煙草ー」
と秘書天使の注意も聞かず、天使某は逃げるように執務室を出た。
呆れる秘書の手に積まれた書類の一番上には、間もなく生まれるある一人の男の子のプロフィールと付与された才能が明記されていた。
その子の苗字は野良。間もなく球男と名付けられる予定だ──。
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