進路

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 先生は咳ばらいを一つすると、真剣な表情になる。  それを見て私も気持ちを切り替えた。 「それで、第一希望は? あぁ、あの農業科学科がある学校か。 藤堂らしいな。学力面では問題ないな、しかし、商品開発科も設立されたから、偏差値は高めだから、気は抜くなよ」  私の成績表を真剣に見て答えてくれた。   「うん、このまま藤堂らしく進みな。 それとご両親には話ているのか?」  ついにきた。 この質問が一番の山場である。 「それなんですが、まだ伝えていないんです」  私の回答に少し驚いた表情を見せた橋本先生、すぐに整えるとファイルを閉じて私をジッと見つめてくる。 「理由を聞いてもいいか?」 「はい……その怖いんです」 「怖い?」  私がなぜ怖がっているのかを説明する。 母の会話の流れや父の態度など、細かくは伝えなかったが、大筋は伝えられたと思う。   「そうか、なるほど、でも、変えるつもりはないんだろ?」  私は真剣な表情で頷き返す。 その態度をみて先生は少し微笑むと、立ち上がり、次の生徒の名前を確認していた。 「わかった。 俺から担任の先生に伝えておくよ。 藤堂の覚悟も感じれた。 うまくいくといいな」
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