2566人が本棚に入れています
本棚に追加
/555ページ
目の前に広がる光景。
これが夢だと思いたい。
「おっまえ・・・いい加減にしろ!」
俺は、ゴミと脱ぎ散らかした服の隙間にちょこんと座るシウに怒鳴りつける。
「うるさい。まだ座れる」
怒っている俺をチラッと見て、すぐにスマホゲームの画面に夢中になるシウ。
なんでたった2週間でまたゴミ屋敷に戻ってるんだよ!
イライラしつつ、片っ端からゴミを拾い、脱ぎ捨てられた服を洗濯機に突っ込みスタートボタンを力一杯押す。
「こんなんじゃハウスキーパーが必要だな。ガキの頃から稼いでるんだから金はあるだろ、雇え」
「無いよ金なんか。全部 向こうに置いてきた」
「はあ!?なっ・・・じゃあどうやって日本に来たんだよ」
「しばらく生活するぐらいは持ってきた。最悪、日本のハラボジ(じいちゃん)とハルモニ(ばあちゃん)がいるし。困ったら頼れって言ってくれてる」
コイツ・・・何考えてるんだ?ただのバカ?
親父に聞いても、シウが前の事務所を辞めた理由も、ウチに来た理由も教えてくれない。
まさか、何にも考えず心のままに生きてます、なんて言い出さねーだろうな。
最初のコメントを投稿しよう!