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シウと生活を共にしてから2ヶ月。 1週間に1度は自宅へ帰っているが、俺に愛情の無い妻の櫻子は、当然 俺の帰宅を喜ぶわけもなく。食事の用意をして風呂を沸かし、特に会話も無いまま早々に自室へ入って行く。 もちろん俺だって好きで自宅へ帰っているわけじゃない。新婚の一軒家に夫が一切帰らないなんて、ご近所のいい噂のネタにされないためだけの建前だ。 親父が用意してくれた新居は、いわゆる高級住宅街と呼ばれる一角にあり、暇を持て余している奥様方は他人の綻びを見つけては尾をつけ羽根をつけ、さも自分は知っていると言わんばかりに面白可笑しく噂を口にする。 『スキャンダル』に敏感な世界にいると、私生活でもそんな事がどうしても気になってしまい、なんだかよく分からない建前のために週一で帰るようにしているのだった。 マンションでの生活はというと・・・部屋の維持とシウの食事の管理が殆どで、送迎にかかる時間も無いし、クソガキの監視もできて、寧ろ都合がいいくらいだった。 一つ不便な事は、マンションには寝室がひとつしか無いために、俺はここ2ヶ月ずっとソファと仲良しの状態だということ。 さすがにしんどくなってきた。裕福な家庭で育って来て、幼い頃からふかふかの広いベッドでしか寝たことのない俺には、体がギリギリ収まるくらいのソファは下手をすれば健康を脅かす可能性が・・・。 まあ、今のところ その気配は無いけど。
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