夏の思い出

12/12
211人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 合宿所であんなに求めあったのに、家に帰ってから届いたのは、驚くほどサッパリしたマコからのメッセージだった。 『なんか親、単身赴任で行くことになったらしい。てことで引越しも転校もナシ。アレはなかった事にしてください』  えええええええーーーっ!?  慌てて返信……と思って、もどかしくて電話した。マコはすぐに電話に出てくれた。 『もしもし?』 「マコ、好きだよ?」 『もう、転校しないから。だから大丈夫』 「うん。嬉しい。すげー嬉しい! 引越しなくなって良かった! ……好きだよ?」 『……ホントに?』 「マコとのこと……夏の思い出にしたくないんだ」 『俺、そのつもりだった』  そう言った声が震えてて、笑ってるのか泣いてるのか分からなかったけど、思い出にしたくないから、今度はハッキリと言った。 「マコを甲子園に連れて行くのは俺だから。だから、ずっと……俺のこと見てて?」 了
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!