夏の思い出

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 マコが急に立ち上がった。帰るのかと思って俺も立ち上がる。でも、マコは遊歩道の方へ歩き出した。俺もその後をついて行く。木のトンネルの中にある遊歩道は十数メートル歩いただけで、完全に闇に包まれてしまった。  クマとかいたらどうすんの? シャレになんねーよ?  ビビった俺は、白く浮かび上がるマコの背中へ小さな声で訴えた。 「マコっ、暗いよ」 「ホント、真っ暗だね」  ピタッと止まったマコに安心する。マコは振り返って、片手で俺の首に腕を巻きつけた。  え? と思ってるとフワッと重なる唇。 「……マ……」 「俺、転校する」 「え? え、な、なんで??」  なんでキスしてくれたのか聞きたいのに、もっと重大な発言がマコの口から飛び出す。表情の見えないマコが俺の胸にもたれてきた。そのマコの身体に両腕を回すと、マコの片手が、背中のシャツをギュッと掴んだのがわかった。  胸がキュンキュンして、抱きしめる腕に力を込める。 「親の都合」 「そんな……」 「だからちょっと落ち込んでて……飛び出してきた子供避けるの遅くなって……こんな怪我しちゃって……俺、バカみたい」 「マコ……」 「リュウちゃんと一緒に野球できる最後の夏だったのに」  マコが俺を見上げた。真っ暗だったから、俺もマコを見つめ返した。ボヤッと浮かび上がる唇に唇を合わせると、マコがキスしながら泣き出した。泣き出したのにキスをやめないマコ。しょっぱいキスを味わいながら、頭にモヤがかかり膝がガクガク震えて地面がグニャリと柔らかくなった。 「……ごめっ…りゅ、ちゃ……ごめっ……」 「なんで、……やまるん、だよっ」 「すきっだから……よ、すきっ……」  気がついたらマコを押し倒してた。何がどうなってるのか分かんない。マコの片手が俺のズボンを下げて扱いてくる。だから俺もキスしながらマコのを扱いた。マコのはめちゃめちゃ濡れてた。少し上下に擦るだけで、鼻から甘い息を漏らす。それが嬉しかった。マコの喘ぐような吐息も全部奪うようにキスしたまま扱く手を早める。マコの体がプルプルと震える。俺は俺で限界で……。 「……っ!」  初めての快感に目の裏で火花が散った。
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