夏の思い出

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「そこ座って。目、閉じてろよ」 「ん」  シャワーのお湯の温度を手のひらで確認しながらマコの背中を眺める。  やべぇ……。  左腕のギブス部分をスーパーの白い袋で覆い、風呂場の椅子に座ったマコは素直に目を閉じた。腰に一応タオルは巻いているけど、ほぼ全裸のマコを上から眺めるというシチュエーションに妙に高ぶる。これで自分も全裸だったらまぁ風呂だし、当たり前と思えたのかもしれないけど、俺はさっき風呂に入ったから服は着たままだ。それが余計アレな感じにさせるのかもしれない。 「……かけるよ。上向いて」 「おねがい~」  マコが喉を晒して天井へ顔を向けた。顔にかからないよう左手で覆いながら地肌へ湯を当てる。ガシガシと頭を洗い、ついでにタオルで背中もこすってやった。 「気持ちいい」 「うん」  マコは日に焼けてもすぐに白くなってしまうと思っていたけど、それは俺の勘違いだった。首筋や腕はほんのり焼けてる。日頃日に当たってない部分はやばいくらい白かった。タオルを持ってない方の手で撫でればツルツルで気持ちいい。 「ちょ、くすぐったい」 「あはは。ごめん」  もうちょっと撫でていたかったけど、仕方なく泡を流す。 「前は自分で洗うからタオル貸して」 「おう」  俺に背中を向けて前を洗うマコをボーッと眺めているとマコがこっちを振り向いた。 「あとはやれるから。ありがと」 「お、おう」  パンツとか履かせてやろうか? と思ったけど、絶対拒否られるだろうとおとなしく風呂から出た。部屋に戻ろうと思ったけど、みんなと一緒に風呂に入りたくないってヤツがたまにいるし、そいつがマコと全裸ではち合わせしないよう出口で待つことにした。
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