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「役の小角、先生の前世だったそうですから、きっと、そのときと同じことをされたんですね」
「役の小角が、僕の前世?」
「だ、そうです。私たちの師匠の大角先生が教えてくださいました」
「もしかして、その大角さんってCRAの創始者の・・大角茂さんのこと?」
「やはり、ご存知でしたか」
「確かあの人も、吉野大台ケ原で修行中に行方不明になっていたのではないかな」
「よくご存知で。正直、大角先生も超能力者としても高名な方でしたのに、ついに先生とは接点がないままでした。研究者の先生なら、当然、すぐにも取材されると思っていたのですけど・・あれは、私たちには謎だったのですけど」
「ああ、どうしても、現役の宗教家取材は、その教団のプロパカンダになってしまう恐れがあったからね。当時の僕はそういうお先棒担ぎはしたくなかったから。いや、それは、今も変わらないけど」
「だから、でしたか」
「ああ、そういえば、あなたたちにそんな話したこと、一度もなかったものね。今更、だけど、あなたたちはCRAの人なの?」
「ええ、今まで、お話しませんでしたけど、東丈ファンクラブの面々、かなりがところ、CRAの人間なんです」
「あの久保陽子さんも、そうだよね」
「そうです」
「向こうの世界で、GENKENのOBだったという人たちと出会って、初めてわかったよ」
「すみません、今まで、秘密にしていて。先生が救世主として立ち上がられたときに、そのお手伝いが出来るようにと、みんな、てぐすね引いて、待ち構えていましたのに。先生、勝手に幻魔を封じ込めてしまったんですね。これでは、私たちの出番がないじゃないですか、どうしてくれるんですか」
「・・すまない」東丈は、素直に謝る。
「いや、その、いいのですけど」
「でも、なんか、わかるんだよね」
「わかるって何が?」
「その、うまくいえないけど、あの僕が失踪したGENKENの世界なんだけど」
「ええ・・」
「僕は戻らなかったけど、その後は、そんな強力な幻魔は現れず、なし崩し的に、あの世界での”幻魔大戦”は終わってしまったらしいんだ」
「はあ・・」井沢郁江としては、そう答えるしかなかった。
「だから、考えたんだ」
「何を、です?」
「僕ならどうするだろう、と」
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