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「そうなんですか?私たちの知る先生は、大の念動力者でしたのに。ほかの超能力もお使いになれましたけど、念力が」
「何か、信じられないというか、その前に」
「その前に、なんです?」
「超能力なんて、こりごり、って感じだな」
「え、マジすか」
「マジす」
「こちらは、幻魔に対抗するためには、超能力がのどから手が出るほどほしいんですけど」
「まあ、確かに幻魔と対峙したときには、ほしいと思うのだろうけど・・あの特撮の銀の巨人見たくに怪獣が出てきたときだけ、超人に変身するわけじゃないからね。24時間、核爆弾みたいな超能力を持っていると思ってよ・・悪夢でうなされて、それを使ってしまったらどうなるだろう、なんて、考えたら、それだけで眠れなくなっちゃうと思わないかい」
「そんな苦労をしていたんですね。意外とぐっすりと寝ている先生しか、こちらは知らないのですけど」
「どうも、世界によって僕にも微妙に変化が起こるのかなあ。それこそ、役の小角のように、修行で苦労して手に入れた力なら、もっときちんと制御できて当然なんだろうけど。僕の場合は、かなり偶発的に発現した力だったから」
「私たちの知る先生も、偶発的にというか、かなり無理くり、プリンセス・ルーナによって開花させられたのだそうですけど」
「マジすか」
「マジす。なんでも、ビルの解体現場で、頭の上から天井や壁を落としてきたとか」
「なんと・・もし、開花しなかったら、死んでたじゃないか」
「プリンセスは、その成功を予知されていたから外れるはずがないということだったそうですけど」
「しかし・・なあ」
「なんだか、確認しましたけど、最悪のことにはならないように、仕掛けがあったのも事実のようですけどね」
「そうなのか?」
「ええ、大角先生によると、破片が落下してきて、先生の体に触れる寸前に寸止めする方法が講じられていたそうです」
「うむ・・」
「しかし、それを悟られては、先生の超能力が開花できない可能性があるので、気づかれないように、先生に思わせぶりなパニックになるような”鬼ごっこ”を仕掛けたらしいんですけどね」
「・・・あきれたな。そんな意地悪なことしなくても、もっと、方法はあったのだろうに」
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